テキストサイズ

恋と秘密と幼なじみ

第8章 夏の足音

「信頼があるから心苦しいってのもあるけどな」
「なんで?」
「だっておじさんもおばさんも俺を信頼してくれてるんだろ? でもそれを裏切るようにひめちゃんに手を出して……」

彼の苦悩も理解できるので陽姫は「まあ、ねえ……」と相槌を打つ。

確かに両親からしてみれば早すぎる行為には違いなかった。

「でも俺がひめちゃんのことを好きって思う気持ちとか、そういうのは間違ってない。だから変な心配はするなよ」
「うん。ありがとう」
「でも見つかるわけにはいかない。それだけは絶対だからな」
「いつまで?」

いつかは伝えないといけない。
真剣な目で訊くと祥吾も真剣な目で答えてくれる。

「俺がちゃんと社会人として独り立ちできて、ひめちゃんが学生じゃなくなるまでかな」
「えー!? それは遅すぎ!」
「じゃあせめて高校を卒業するまで」
「それでもまだ六年近くあるし!」

親に隠れて付き合うのは、相手が祥吾だけに辛く思えた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ