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「なんだ、ひめちゃんも来てたんだ？」
「そうなんだ。親とかと一緒にね！」

開港祭をみんなで行こうと誘われていた陽姫だが祥吾と二人きりで来たかったから断っていた。

とはいえしつこく誘われるのを嫌った陽姫は「予定がある」という細かい理由はせずに説明していた。

現地でこうして鉢合わせてしまうことは想定済みだったので、用意していた嘘で乗り切る。

残念がるクラスメイト達に「ごめんねー」と両手を合わせ、頭を下げていると視界に鬼澤の顔が入った。

「いいよいいよ」と笑う友だちの中で、彼だけは鋭い眼光を向けている。

正確に言うと彼の睨みは陽姫ではなく、その頭一つ分高いところに向いていた。

恐る恐る振り返ると鬼澤に睨まれている祥吾も、静かな目で睨んでくる少年を見据えていた。