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恋と秘密と幼なじみ

第10章 夏の暑さと映画デート

「まあ、わざわざすいません。いつもいつもありがとうございます」

母は嬉しそうに受け取り、丁寧に祥吾に礼を述べる。

(そういえばお母さんっていつから祥吾君に敬語を使うようになったんだっけ……)

ふと疑問に思い、記憶を遡る。
祥吾を小さい頃から知っている母は、当然昔は敬語ではなく子供に話すように話し掛けていた。

(大人に敬語を使われるようになったら、大人になったっていうことなのかな……)

そんなことを思う。
祥吾の両親は陽姫に話し掛けるとき、子供相手ともつかず、敬語ともつかない感じで話し掛けてくる。

お土産は九州で有名なお菓子だったらしく、母はさっそくお茶を淹れに行く。

「さっき祥吾君の話してたんだよ?」

テーブルの下で隠れるように彼の手を握る。

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