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恋と秘密と幼なじみ

第10章 夏の暑さと映画デート

意味ありげに微笑まれ、陽姫はドキッとしてしまう。
祥吾も同じだったようだが、「はい。ちゃんとひめちゃんに夏期講習しますんで!」と咄嗟の対応をしていた。

「行ってきまーす」

ヒールのある靴を指できゅっと押し込めるようにしながら出て行った。

「ほんと、大人なのに子供みたいでしょ、うちのママ」
「なんか可愛くていいじゃん」
「可愛いっていうか、抜けてるっていうか」

呆れた顔をしたが、自分の母親を可愛いと言われて、歳を重ねた自分が可愛いと言って貰えたような気がして、少しだけ嬉しかった。

「祥吾君……」

玄関先にもかかわらず、陽姫は背伸びして祥吾にキスをする。

「駄目だよ。あんまり羽伸ばしすぎるなって言われただろ?」

祥吾は笑っているが、かなり気にしているようだった。

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