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恋と秘密と幼なじみ

第10章 夏の暑さと映画デート

「じゃあね」
「おう。じゃあな」

陽姫の家の前で挨拶をするが二人とも動かない。

「ほら、家に入れよ」
「祥吾君こそ、帰って」

名残惜しい気持ちが見えない縄のように絡まり、時間だけが無駄に進んだ。

「ちょっとだけ……上がっていく?」
「そうだね……」

青い気持ちの高ぶりは鎮められず、どうせ別れらなければいけないのにあと少しだけそばにいたかった。

玄関のドアを閉めた途端に祥吾の首に手を回し、飛びつくようにキスをする。

もう四時近くだからいつ母が帰って来てもおかしくなかった。

危険は承知だったが、唇を合わせたいという欲求は止められない。
祥吾も同じ気持ちだったのか、ぎゅっと抱き締めてくれたのが嬉しかった。

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