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恋と秘密と幼なじみ

第4章 秘密の恋のはじまり

一応タイプじゃないとは付け加えたが、少しは気になったかなと期待する。

しかし祥吾は動じた様子もなく、視線を川や森の方へと流しながらうなずくだけだ。

「でね、その鬼沢君に付き合ってる奴とかいるのって訊かれた」

その瞬間、祥吾は振り返って陽姫の目を見た。
ほんの一瞬だったが、その瞳には間違いなく狼狽の色が浮かんでいた。

しかしすぐにいつもの祥吾の顔に戻る。

「まじでー!? それってひめちゃんのこと好きって言ってるようなもんじゃないの?」

五月の陽気にぴったりの爽やかな笑顔でそう言った。

「…………なんで」

咄嗟に熱くなった目は止めようもなく、涙を溢れさせてしまった。

「なんで笑うのよ……ばか……」

喉が震えてまともに声も出ず、頭がくらくらするほど熱く激しく唸っていた。

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