『甘い蜜』
第1章 甘い蜜 1
どうしてだろう…。
昔からあまり面倒な人とは関わらない様にしてきたはずなのに。
なんでアイツと出会ってしまったのだろう…。
「神埼、居残りかー?」
皆が帰路の準備に騒がしくなる中、同じクラスの倉本が部活用のカバンを担ぎながら寄ってきた。
「…生徒会長宛に頼まれ事があって。」
HRが終わってすぐに担任から渡された封筒をちらつかせた。
「ははっ、また明日な!」
その様子を見て倉本は苦笑しながらも、人懐っこい笑顔を俺に向ける。
「ん、部活頑張れよ。」
それに答える様に俺も手を振って見送った。
早く渡して俺も帰ろう…
ていうか、何で俺に頼むんだよ…先生。
なんて内心は愚痴ってみるものの、あまり近寄る事もない生徒会室に興味もあったりして…。