『甘い蜜』
第19章 甘い蜜 19
「神埼?」
歩みを止めた俺に倉本が足を止め、振り向く。
「あ、ううん…なんでもない。」
一瞬、目が合ったかと思ってしまった。
アイツが見下ろすのと、俺が何気無く見つめた生徒会室に送った視線が…。
「…ばかばかしい。」
視線が合ったからってなんなんだ。
恋人じゃあるまいし…
それにアイツの横に人影が見えたのだから、また連れ込んで情事の真っ最中なんじゃないか…。
「さっきから何をぶつぶつ言って…」
「ごめん、独り言…?」
倉本が心配気に問いかけてくれたけれど…
このもやもやとしたよく分からない感情を上手く説明出来ずにいた。