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FRIENDs -ars短編集-

第1章 一方通行 O×N

Nサイド


お腹にかかった白濁をシャワーで
流してからタオルに手をかける。

目の端に鏡が見えて
鏡に目を向ける。


あ…


俺は1つ大きなため息をついた。

泣いてたんだ、俺。

鏡に映った俺は目が赤かった。
自分でも気付かないうちに
泣いてるなんて…
俺はそれを無理矢理
大野さんのせいだって言い訳した。

ドアを開けると、
しんとした空間にまた泣きたくなった。

無駄に長い廊下を独りで歩く。



「大野さん…?」


寝室のドアを開けるのさえ苦しかった。
もう大野さんは俺の相手なんか
してくれないんじゃないかって。

でも…


「…ん、ニノ。おはよぉ。」


そう言って、まっすぐ俺を見て微笑むから。
期待してしまう。


「お風呂空いたよ。」
「…うん。」


大野さんのいなくなった部屋。
さっきまで大野さんが
眠っていたところに潜り込む。

きつい臭いに交ざって
少しだけ香る大野さんの匂い。

その匂いに誘われて
いつの間にか眠りに落ちていた。

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