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第11章 I4U

千晃side







先生「パフォーマンスまであと15分だから1回通すぞ〜。アクロバットは足と動きだけ確認するように」

千「アクロバット…?」

浦「そうそう。ダンス迫力あっていいんだけど,みんな余裕あったからアクロバット入れたの」






音楽が始まった…と思ったらいきなり両脇から目の前でバク転


踊っている最中も人の上を飛んでみたり


とにかく迫力がすごい


それに比べて…


わたしは1人でなにしてたんだろう,ほんとに


罪悪感でいっぱいだ





浦「千晃ー」

千「ん?」

浦「自分だけさぼったとか考えちゃだめだからね」





直也くんはエスパー?(笑)

思ってること全部わかってくれてる




浦「千晃だって戦ってたでしょ,この2週間」

千「うん…」

西「あ,もうすぐだよ」

浦「男子が道作るから,その間通って舞台に上がって」

千「わかった」






曲が終わり,クラスのみんなが脇に並ぶ


この間を通ればいいのかな?





ゆっくりとステージに上がり,まずは審査員席に背を向けて歌う




千「思いやりや〜……」


千「…優しさや温もりを〜…」





そこで一旦止め,前に向き直す






千「…置き去り〜にして〜」





少し声が震える

ほんのわずかだけど,伸ばすところで震えてしまう

思いっきり歌えてない,そんな気がする




千「愛のカタチだ〜」





だめだ,最後まで震えた


悔しい,すごく悔しい




パチパチパチパチ





B「タイミングぴったりじゃね!?」

A「ノーミス!!!!」

先生「これなら優勝も見えるぞ!!!」





ノーミスじゃない

私がミスした





真「千晃!本番も今の調子でな!」

千「う…うん!(笑)…わ…たし,トイレ行ってくる!」






しっかりしなきゃ

そう思うほど声が出ない

こんなとこで失敗しちゃいけないのに






?「な〜に本番前に泣いてんの」

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