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MITO

第2章 家政婦修行

 0コンマの早さで、ボンサンがテーブルを叩いた。


「なんだ、このビジュアルの違いわっ!! 俺には箸もおてふきも無いのかよ!!」


「なにを言う、そこにあるだろうが!!」


 デヴィッドが示した所には、新しい鉛筆が2本と、雑巾があった。


「おい……お前、普段は鉛筆で飯を食ってんのか?」


「無かったんだよ。それで我慢しろ!!」


「さっき調理に使ってた菜箸があるだろ!! あれ、持ってこい!!」


 すると、そこに水戸さんが近付いてきた。


 すっと、横から、割り箸とおてふきを差し出した。


「……涙が出そうになる。デヴィッド、ちゃんと教えてもらえよ」


「いや、俺が一応指導者だから」


「まあまあ、お二人とも、ここは水戸さんが主役だ。調理の出来栄えを見ようじゃないか」とジャガーが間に入る。


「いや、ジャガーは見れるけど、こっちはこれだよ」


 ボンサンは、生ゴミと化したデヴィッドの料理を示した。それも、自分の指で示すのが嫌なのか、箸代わりにあった鉛筆で差した。


「ボンサン、料理は見た目じゃない。心だよ」


「味を忘れた心がなんの評価になるんだよ」



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