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MITO

第2章 家政婦修行

 握りすぎて、餅になっていた。


 しかも、なにか匂う。


「デヴィッド……なにをした?」


「形を整えるために、何度も握っただけだが……」


「どのくらい握った?」


「それ、1個に約8分ほど」


「これ、お前の体液も握りこんでるだろ!! 見ろ!! なぜ、おにぎりのここから毛がはえてるんだ!?」


 ボンサンはたまらず、箸を置いた。


 隣のジャガーを見た。


 涙を流しながら、おにぎりを頬張っていた。


「ちょ、ジャガー、どうしたのさ?」


「おふくろを思い出したんだ……この味……」


「いや、ジャガーのお母さん、まだ生きてるでしょ……」


「死んだとは言ってないわ。思い出したと言っただけだ。しかし、おにぎりだけで、ここまで感動させるとは、水戸さんはなかなかの腕前だな。デヴィッド、よくここまで教え込んだ」


 ボンサンは、ジャガーの前に自分の残りを差し出した。


「ジャガー、これ食ってみなさい。人を死のふちに追いやるものしか作れん男が、どうやって感動を教えられますか?」


 

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