テキストサイズ

MITO

第2章 家政婦修行

「ボンサン、デヴィッドも頑張ってやってるんだ。そんなに悪く言うもんではないぞ」


「いや、結果を見てフォローしてください!! 俺はこれで、三途の川を渡りそうになったんですよ!!」


 声を荒げながら訴えるボンサンの肩に、誰かがそっと手を置いた。


 水戸さんだった。


「水戸さん……」


 ボンサンは顔を後ろに見上げる。


 すると、水戸さんはボンサンの前に、きれいなおにぎりと玉子焼きを置いた。


「え……これ……」 


 ボンサンは困惑する。


『た゚い゙ら゙げろ゚(どうぞ、召し上がれ)』


 水戸さんは、新しいお箸を差し出した。


「水戸さん……ありがとうございます」


「ダメだよ水戸さん、それ、俺に作ってくれてたやつだろ。おい、ボンサン、俺が作ったやつ、どうするんだよ」


 デヴィッドが水戸さんの行為に、いちゃもんをつける。


 水戸さんは、デヴィッドに頭を下げると、ボンサンが食べ残したデヴィッドの失敗作を、なにも言わずに食べはじめた。


「えっ!? 食べるの?」


 デヴィッドは驚いた。


 ジャガーはその様子を、腕を組んで眺めていた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ