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MITO

第2章 家政婦修行

「お前、業者を頼んだんじゃないだろうな」とジャガーが問い詰める。


「いやいやいやいや、そんな自己負担になるようなことは、一切いたしません……と、言うか……実は、水戸さんに、本気に掃除を教えたんですよ〜」


 やがて、永久的掃除当番と任命されたデヴィッドだった。




 水戸さんは、朝から講習会場に向かっていた。濃いブルーのブレザーに同じ色の膝までのスカート。首にはピンクのスカーフ……どう見てもキャビンアテンダントだ。


 まだ時間はある。


 水戸さんは、途中、喫茶店に立ち寄った。


 レンガと漆喰を塗り込まれた味のある造り、木の扉にはアルバイト募集の貼り紙があり、猫の形の看板があった。


 木製の扉を開けると、ホワッとコーヒーの香りがした。


『ネ゙ス゚カ`フ~ェ』


 中に入ると、外国人男性が「イラッシャイマセ」と、案内をしてくれた。


 カウンターにはなぜか、黒い猫がいた。


 不思議そうにこちらを見ている。


 外国人男性店員が、お冷やとウェットナプキン、メニューを、テーブルに置いた。


『……』


 水戸さんはメニューを眺め、指を差した。


「ババロアデスネ〜」


 水戸さんは、コーヒーを指差したつもりだったが、差し間違えた。


 水戸さんは、講習会のテキストをめくった。


 これは、デヴィッドからいただいたものだ。



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