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MITO

第2章 家政婦修行

 水戸さんは、あることに気がついた。


 字が書けない。


 かろうじて、読むことは出来るが、ペンを持ってなにかを書こうとしても、なにも書けない。


『ぬ゚〜』


 悔しいと思った。


 私はなぜ、家政婦を目指しているのだろうか?


 なぜ、家政婦なんだろう?


 そんなことも思った。


「オマタセイタシマシタ〜」と外国人男性店員が、銀のお盆に注文した物を乗せて運んできた。


 おしゃれなガラスの器に、京セラドームのような形をした、ピンク色のプディング状のスイーツ。


 コーヒーじゃない。


 そう思った。水戸さんは、外国人の男性店員に聞いた。


『……ペ゙ペ`ロ゚ン゙チ゚ーノ゚?』


「イエ、ストロベリーババロアデス」


 外国人男性も、やや、困惑気味だった。


 すると、水戸さんの頭に、なにかが入りこんできた。


“お代は、結構ですよ。特別サービスです”


 水戸さんは、辺りをキョロキョロと見回す。


 空耳?


 すると、今度は日本人の若い男性店員が近寄ってきた。


「あの……うちのマスターが、サービスですので、お代は結構だと言ってます」



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