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MITO

第1章 遺体回収業者

 白い台の上には、女性の遺体が、全裸で寝かされていた。


「この女性は水戸さんと言うのか……なにがあったか知らないが、命を落とすのは早すぎるな」とジャガーが、残念そうに語る。


「綺麗な人ですよ。僕が嫁に欲しいです」


 デヴィッドがもずくの方を、しっかりと眺めながら言った。


「では、デヴィッド、ボンサン、まず、生まれ変わるこのご遺体に、合掌しようではないか」


 三人は目を閉じて、静かに手を合わせる。


 そして、ボンサンが般若心経を唱えると、ジャガーの合図で蘇生手術がはじまった。


 とは言っても、医療のための病院の手術とはまったく違う。


 まず、体内の水分を入れ換えることからはじまった。


 脳に人工知能を埋め込み、骨の中心に金属芯を突っ込む。


「人工心臓、血管チューブD2とS1を」


 ジャガーの指示に、デヴィッドとボンサンが素早く動く。


「防腐液注入、ボンサン、人工声帯」


「準備出来ました。注入します」


「よし、傷は人工皮膚で埋めろ」


 48時間かかり、蘇生手術は完了。


 いよいよ体内に電気を流し、人工心臓を作動させる。女性の体に、複数のパッドが装着された。


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