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華は儚く美しく

第1章 戦乱に散る桜

「何奴?」

 武士は叫んだ。

 長い黒髪を赤の組紐で、高い位置で一つくくりをしている。短い着物の所々には刃の斬れ痕。腰には金色の鈴をつけており、女が長い刀を振り回す度にチリンチリンと鳴る。

 女の舞う姿は、まるで蝶のように色鮮やかで美しい。

 次々と人が斬られていく。女の周りは血の海。顔は愉しそうな笑みを浮かべている。

「我の名は月ノ宮桜(ツキノミヤ サクラ)。我の敵は容赦なく討滅する!」

「敵ぞや……?」

 死にかけの武士が桜に聞く。

「我の敵、即ち信長(ノブナガ)様の敵!」

 桜は力強く答えると刀を振り下ろした。武士は物言わぬ死人へと変わる。

「討滅完了!」

 桜は鈴を鳴らしながら走り去っていく。

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