肝だめし
第1章 墓地
「えっ、兵隊!?」
「うん、墓石に少尉とか戦死とか書いてる」
「はぁ~!?」
このタイミングでそんな話をするか?
「なんで今言うねん!?」
「だいぶ前に見たから忘れててん…」
「あのなぁ!」
このド深夜に兵隊さんが眠ってるお墓に行ける?
いや行ったとしよう
戻ろうと振り返った時、もし兵隊さんが道を塞いでたらどうするよ!
「……………」
お墓でこんな想像をした時点で無理だった
「やめよか…」
俺の言葉に黙ってうなずく二人
完全に心が折れた
「最後、その兵隊さんのお墓だけでも撮ろ」
「う、うん…」
伊藤が頂上に向かってシャッターを切る
カシャ!
何か見えた気もするがどうでもいい
「さあ帰ろ帰ろ…」
一刻も早くここから立ち去りたい
気がつくとみんな早足になっていた