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肝だめし

第3章 逃走


その音は草をかき分けたり、這ったりしたものではない

明らかに上から草を踏みしめる音であり、それなりの重量がある何かだ

「なんかおる!!」

目の前でその音を聞いた田中は顔面蒼白、顔を引きつらせながら音のした方を指差してる

俺と達川も恐る恐る田中が指差す方を見た

そこは街灯に照らされていて隠れられる様な所じゃない

3人でその辺りをくまなく探したが何にもいなかった

「おらへんやん…」

「いや、おった!おまえらも聞いたやろ?」

「うん聴いたけど…」

そう確かに聴いた

でもこれ以上2人を怖がらせると肝試しが中止になってしまう

それだけは避けたくて俺は嘘をついた

「あれドングリが落ちた音やって。俺も中村に聞いて知ってん」

明らかに違う音だが田中はその音に気づいてないから誤魔化せると思った


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