肝だめし
第3章 逃走
しかし目の前で聴いた田中には通用しなかった
「違う!何かが歩いたって!なんかおる!」
よっぽど怖いのか強い口調で即否定
顔が引きつってるのがわかる
やっぱりドングリじゃ無理だった
もう一度だけ、これも違うであろう猫のせいにしてみる
「よう見てみ?猫か何かやって」
「いてへんやん!目の前やねんて!」
田中の指差す場所は2m程前、猫が隠れる事など不可能だった
「ん~………」
それ以上何も言えなくなった俺は黙り込んだ
3人の間に長い沈黙が流る
すると再び
ミシミシミシ…
さっきより大きな足音が鳴り響いた
「!!!!!」
固まる3人
一瞬逃げそうになったが必死でこらえる
「おる!ここになんかおる!!」
田中はパニック状態
俺もめちゃくちゃ怖い
田中が逃げたら逃げる気満々
でも恐怖に固まった田中はそこから動けなかった