肝だめし
第3章 逃走
でもちょっと待て
こんなハッキリ足音が聞こえて何もいないなんてあり得ない
だいたい幽霊に足はないだろ
俺はもう一度だけ確認したくなった
「よう見てみ!絶対に猫か何かやから!」
自分で見ずに指図する俺
田中も猫であって欲しいのだろう、中腰になって草むらをくまなく探し始めた
「……おらん!何もおらんて!」
頭をブンブン振りながら否定する
もうどうしようもない
そこから動きがないまま1分ほど沈黙が続いた
「いなくなったか?」
「うん、鳴らんな…」
緊張も解けてきたので俺も田中の側まで行って草むらを探してみる
どんなに目を凝らしてみてもネズミ一匹いなかった