肝だめし
第3章 逃走
何度も言うようにそこは深い茂みでもななければ暗くもない
「ほんまにここか?」
「そこやって!すぐそこ!」
田中は何度も目の前の草むらを指差す
もしここだとしたら見えないものが歩いたとしか思えない
「あかん、雰囲気が悪すぎる…」
恐怖に飲み込まれそうな空気を変えたくて、俺は無理やり冗談を言ってみた
「おっきなカブトムシちゃう?どっか飛んで行ってんて、ブゥーンて♪」
その時だった…
ミシ!ミシ!ミシ!ミシ!
俺の目の前を大股で何かが歩いた!
「!!!!!!!」
草が揺れている
顔を見合わせて固まる3人
逃げる?逃げへん?
三人必死でアイコンタクト
体は逃げようとするが良心がそれを引き留める
どうする?どうする?
みんな今にも逃げ出しそう
んんん~!置いていかれるのだけは嫌!
「ぎゃあぁぁあああああ!」
恥ずかしながら俺が真っ先に猛ダッシュ
「わ~!待って~!」
「いやぁぁぁあああ~!!」
後を追う2人
3人は叫びながら闇夜を疾走した