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肝だめし

第4章 金縛


「えっ!?声やん!」

最初に田中が気づき、他の何人かが頷く

「えっ?うそ?」

俺も違和感は感じたが、決して大きな音ではないので声とまでは気づかなかった

「ほんまか?もう一回聞いてみよ」

俺はテープを巻き戻すと音量を目一杯上げて再生ボタンを押した

お墓に入ってから戻るまで俺達の声や雑音が入り混じってるが不自然な音は一切ない

しかし、あと少しで畦道から出るという時になって明らかに異質な声が入るのだ


うぅぅぅぁぁあああ


「女の声ちゃう?」

「うん女やな、あかんやつやわ…」

「ヤバいんちゃうの?」

「もうやめようや…」

恐怖でみんなの表情がみるみる変わってく

触れてはいけないものに触れてしまったかの様に

でも怯えるみんなをよそにワクワクしてる自分がいた

これは身を削って製作したリアル怪談、怖がってなんぼなのだ

あまりにみんなが引くので軽く茶化してみる

「凄い凄い!ほんまに声やん♪もう少しハッキリ聞こえたら言うことないねんけどな~」

すると中村が怒り出した

「笑い事ちゃうで!これあかんやろ!」



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