肝だめし
第1章 墓地
肝試し当日
親にバレないようにコッソリ家を出る
深夜に友達と遊ぶってだけでワクワクしながら集合場所の駅前に向かった
駅前と言えど終電も終わって人影はなく、当時はコンビニもないのでとても寂しげ
まだ誰も来ていない
待ち合わせ時間の5分前になっても来ない
「遅いな…」
約束の時間を過ぎても来ない
「大丈夫か?」
30分過ぎても来ない
「くそ…」
駅前には交番があって、この時間にいつまでも一人でいると補導されかねない
「とりあえず中村と合流しよう…」
急激に不安になった俺は先に中村の家に行く事にした
ここからチャリで数分しかかからない
えっちらおっちら坂道を登る
やがて最後の角を曲がり、まっすぐ中村の家の方を見た瞬間、思わずブレーキをかけた
「ひっ!!」
突き当たりにあるお墓へと続く畦道
そこから放たれる異様な空気に圧倒されてしまった
それは一週間前に見たのとは全く違う闇だった