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肝だめし

第5章 浮遊


「もう…あかん…」

これ以上続いたらもたない

人間は追い詰められると二つのタイプに別れる

諦める人と開き直る人

俺は後者だ

「なんでここまでされなあかんねん!」

怯えるのはやめて自分に何が起こってるか確かめる

これは夢なのか?現実なのか?

いや夢じゃない

こんなリアルな感覚初めてだし、夢で夢に気付けば起きるだろう

かと言って体が浮き上がるなんて現実にはあり得ない

この夢と現実の狭間にいる様な不思議な感覚…

もしや遊体離脱ってやつ?

そうなら襖を突き抜けたり、浮き上がったりするのも納得出来る

という事は今ここにいる俺は魂?体はまだ布団にいるのか?

見てみたいとも思ったがやっぱり怖い

体と魂が分離、そこから想像するのは死…

このまま戻れないと死ぬのか?

まさか、もう死んでる?

はよ戻らなヤバい!

寄せ集めのオカルト知識が頭の中を駆け巡る

焦った俺は最後の力を振り絞ってもがいた

「んっ!!んん〜っ!んああああ!」

2、3回転がれば届く布団が遙か彼方に思えた


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