肝だめし
第5章 浮遊
ここでまた布団の方を見るかどうか迷う
目線を上げれば見れなくはない
もう一人の自分を見たショックってどんなだろう?
自分は自分、唯一無二の存在
そんな当たり前の常識が崩れるのだ
何かとんでもなく重い物を背負って生きて行かなきゃいけない気がする
「やめとこか…」
そんな怖さとは裏腹に幽体離脱に興味深々
今は金縛りで身動き出来ないけれど、上手くコントロール出来たら飛び回れる気がする
窓から外に飛び出して夜空を舞い、どこへでも飛んで行けるとしたら?
もちろん好きな女の子にも逢いに行ける
でも体を離れてウロウロしてる間に、他の魂に体を乗っ取られはしないだろうか?
心霊番組でそんな再現フィルムを見た事がある
そうなると二度と自分の体に戻れないかも知れない
誰かに乗っ取られた自分を頭上から眺める事しか出来ず、永遠に魂として漂流するとしたら…
無意味な妄想は果てしなく続く
「いやいや、まずは戻らんと!」
何とか体を起こし、四つん這いの体勢にまで持って来た
もう何が出て来ようがブッ飛ばすぐらいの勢い
「うりゃあ~~!」
渾身の力を振り絞ってさらに上体を起き上がらせる
「えっ!?」
その瞬間グルンと景色がひっくり返った
「わわわわ~~!!」
再び浮き上がる体
さっきと同じく回転しながら舞い上がって天井ギリギリで停止した