肝だめし
第6章 殺意
骨ばった手に髪を掴まれて全身に鳥肌が立った
激しく後ろに引っ張られ、背中がエビの様に仰け反ってゆく
「ぐ…ぐ…苦じい…」
苦しくてもがいているとヤツがゆっくり動き出した
髪を掴む手はそのままなのに…
「二人!?」
それはまた俺の左側をゆっくり移動し、真正面に回り込んで止まった
同時に髪を引く力が緩み、俺の顔が正面のそれと同じ高さにまで戻された
両手が布団に着いて呼吸しやすくなったが、目を開けられない
絶対に見たくない
震えて固まっているとそれが俺の顔に急接近
「!!!!!!」
僅か数センチ、ギリギリのところで止まった
ハァ~…ハァ~…
顔にかかる生暖かい息で間近にいるのが嫌でも分かる
舌を出せば届く距離だ
毒蛇に絡みつかれた様な緊張と嫌悪
生まれて初めて恐怖で顔が痛いくらいに引きつる
そのまま1mmも動けないまま一分ぐらい経過した