肝だめし
第6章 殺意
顔面が引きつり過ぎて顎の辺りがヒクヒク痙攣してる
体の震えも止まらない
殺される…
殺される…
瞼の裏に浮かぶ顔はあまり凹凸がなく、肌は白濁色でまさに死に顔、半開きの唇は妙に紅くて歯がない
そんな生首が底なしの黒眼で俺を睨みながら目の前に浮かんでる
首が裂かれるのをただ待ってるような絶望と恐怖しかなかった
ただ救いはこれら全て瞼の裏に浮かんだ映像だということ
髪を掴まれてる感触は確かにあるし、生暖かい息もかかってる
でも実在するかどうかは目を開けてみなければ分からない
もし肉眼で確認出来たら霊の存在は確定、逆に何もなければ単なる幻覚や夢であり、この恐怖から即解放される
「見るか…?」
このままでは埒が開かない
俺は何度も薄目を開けかけては躊躇した
目の前数センチの生首を見て正気でいられる自信がない
そのショックは脳に刻み込まれ、後の人生を大きく変えるだろう
「やめとこ…」
俺は霊に怯えて生きたくはなかった