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肝だめし

第8章 叫喚


ズズッと音がした瞬間、全身硬直

直後に見覚えのある気配を感じて悲鳴をあげた

「いゃあああああ!」

俺はトカゲの様に部屋を這いずり出ると、階段を捻挫覚悟で三段飛ばし

ドタッ!ドタドタ!ドッタ!ドッタン!

廊下に転がり落ちてその場にへたり込んだ

「はぁ!はぁ!怖すぎやろ!」

体の震えが止まらない

いったい何なんだ?

コンセントも挿さってないのに叫び続けるステレオ

後ろでうごめく得体の知れない何か

もちろん押し入れの方は見ていない

見れるわけがない

家で悲鳴をあげたのは後にも先にもこの時だけだ

こんな姿を誰かに見られたら、なんて説明すればいいだろう?

思い返すとおかしいやら情けないやら

「くそっ!ふざけんな!」

視界が明るくなって強気が復活

今すぐ戻ろうかと思ったが、階段を見上げると暗さが怖い

せめて電気を点けとくんだった

「少し間をあけよ…」

とりあえず母親が帰るまで待つ事にした


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