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※未定

第2章 赤城 琉

父は家に帰って来ないし、逆に母はほぼ毎日家にいて違う男を連れ込んでは寝室へと消えていく。


『赤城くん!荷物持つね♡』
『ちょっと、私のが先に来たんだけど』
『赤城くんに昨日会えなくて寂しかったよぉ…』


僕にこうして近寄ってくる女の子たちは多分僕のお金が目当てなんだと、小学生の時に気がついた。


僕には何の魅力もない。ただ、僕の親が凄いだけ。それに僕は社長をやってる父を継ぐ気はない。


そのことをまだ父には話してはいないけど、いつかは言うつもりでいる。


『赤城くん♡♡今度の日曜日とか、空いてるかなぁ…♡』
『その日は私と遊ぶの!』
『私なんて1ヶ月前に予約してたんだか…きゃっ!』


「お、っと…大丈夫?」


誰かと当たったらしい彼女を助けると、その彼女は顔を赤くさせていた。


『大丈夫…♡♡♡君もごめんね。立てるかな?』


「あ〜すんませ…って、何だ花笑かよ」


「ちょっと!『はなえ』って言わないでって言ってるでしょ!?『かえ』って言ってよ!ってか優利かよ…謝って損した」


僕と話しかけるトーンが違っていて、その『かえ』ちゃんと言う子と『優利』という男の子が親しい仲なんだということが分かった。

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