陽だまりの唄
第2章 恋愛模様 in 隠れ家 ①
「楽しかったわ」
「北海道再発見できたよ」
「家内とのいい思い出作りができたよ」
口々に言うお客様達。
2泊3日の旅の疲れはどこへやら…飛行機の中ではあんなに熟睡していたのにね。
「皆様の思い出作りのお手伝いをさせていただけて嬉しかったです」
「ありがとうございました」
「お気をつけてお帰りくださいね」
私も笑顔でお礼の言葉を返しながら、求められた握手を返していく。
手を振りながら遠ざかっていくお客様の姿を見送る。
お見送りを終えた私は、ツアーの帰着報告を会社に入れ、空港ロビーから駅へ向かう。
15時40分だ。
このまま帰宅してもいいのだけど、ちょっとアルコールを体内に入れたい気分。
こんな時は、もちろん…
あの店へ行くしかないでしょ。
決めてしまえば、足取りも軽く、電車で目的地近くの駅へ向かうだけだ。