陽だまりの唄
第2章 恋愛模様 in 隠れ家 ①
満員電車になる前に電車を降りられた。
思わずほうっと息を吐き出す。
本当に満員電車はキライ。
改札口付近はごった返していた。
時刻は18時になるところだ。
到着する人の方が多いのは、この駅界隈が若者達の聖地だからか。
何とか人の間をすり抜けていく。
こんな時、キャリーケースが少しばかり邪魔だが仕方ない。
人で溢れかえる駅前通りを抜けて30分近く歩いた。
いつもなら20分もかからないのだけど、今日はとにかく混んでいる。何かイベントでもあるのかもしれない。
ようやく喧騒を抜けて出れた通りは、駅前のような派手さはない。
モダンな和風造りの店『隠れ家』に入れば、いらっしゃいませ、と聞こえる。
「おや、陽菜ちゃんじゃないか」
「こんばんは、タカさん」
「久しぶりだねぇ」
そう言いながら奥から出てきたのは、半分白髪混じりのダンディーなおじさま。
この店のオーナー。常連客からタカさんと呼ばれている。50歳前後に見えるけど、実際はもっと若いのかなって思う時がたびたびある。
私は1ヶ月に2、3度くらい来てる。
この店に通うようになってから1年半くらい経つと思う。
ずいぶん顔見知りの常連客も増えた。残念ながらカウンターに陣取るような女性は私以外ほとんど見かけない。
カウンター席の下にキャリーケースを押し込んでから椅子に座ると、タカさんは黒ビールをスカッシュで割ったものを静かに置いてくれた。
これはメニューにない、私だけの特別なビールだ。
だから私はこの店に来て飲みたくなっちゃうんだよな。
思わずほうっと息を吐き出す。
本当に満員電車はキライ。
改札口付近はごった返していた。
時刻は18時になるところだ。
到着する人の方が多いのは、この駅界隈が若者達の聖地だからか。
何とか人の間をすり抜けていく。
こんな時、キャリーケースが少しばかり邪魔だが仕方ない。
人で溢れかえる駅前通りを抜けて30分近く歩いた。
いつもなら20分もかからないのだけど、今日はとにかく混んでいる。何かイベントでもあるのかもしれない。
ようやく喧騒を抜けて出れた通りは、駅前のような派手さはない。
モダンな和風造りの店『隠れ家』に入れば、いらっしゃいませ、と聞こえる。
「おや、陽菜ちゃんじゃないか」
「こんばんは、タカさん」
「久しぶりだねぇ」
そう言いながら奥から出てきたのは、半分白髪混じりのダンディーなおじさま。
この店のオーナー。常連客からタカさんと呼ばれている。50歳前後に見えるけど、実際はもっと若いのかなって思う時がたびたびある。
私は1ヶ月に2、3度くらい来てる。
この店に通うようになってから1年半くらい経つと思う。
ずいぶん顔見知りの常連客も増えた。残念ながらカウンターに陣取るような女性は私以外ほとんど見かけない。
カウンター席の下にキャリーケースを押し込んでから椅子に座ると、タカさんは黒ビールをスカッシュで割ったものを静かに置いてくれた。
これはメニューにない、私だけの特別なビールだ。
だから私はこの店に来て飲みたくなっちゃうんだよな。