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陽だまりの唄

第2章 恋愛模様 in 隠れ家 ①

最近、陽菜と会ってない。

タカさんの店に月に2,3度は来ていた筈なのに。

何かあったのか?

いや、仕事が忙しいだけかもしれない。


タカさんに聞いてみても、春だから仕方ないよねぇ、とニコニコしてるだけ。
俺の欲しい答えはくれそうにない。

…というか、陽菜と話すようになって一年以上経つのに、まだ連絡先を交換してないとかありえないだろ?

俺、こんなに奥手だったことあったか?

人気モデル"RIHITO"が聞いてあきれるだろ…。


悶々としていたある日。
久しぶりの休日を夕方まで友人と過ごしてから、タカさんの店に寄ってみた。


まじか…!
カウンター席の一番奥に座っている、あの後ろ姿は…

陽菜だ!

陽菜が来てる!


ドクドクと早まる鼓動が俺の耳に響く。
俺に気づいたタカさんがめちゃくちゃニヤニヤしている。腹立つなぁ。

大きく息を一つ吐き出した俺は、できるだけ平静を装いながら、タカめしを注文しつつ陽菜の隣の席を確保した。

「…立花さんだ」

そう言って微笑んだ陽菜はやっぱり可愛かった。
キリッとしたパンツスーツに黒髪を小さくまとめているから、おそらく出張だったんだろう。
あ、目の下がうっすら陰っている。寝てないのか?
研修や出張の時の陽菜は、若干背伸びしたようなスタイルをする。そんなことしなくても、陽菜は十分カッコいいのに。


久しぶりに陽菜に会えて、俺の中のモヤモヤが消えていく。ちっとも落ち着かない鼓動さえ心地良く感じる。
どうやら仕事が忙しかったようだ。
陽菜、無理するんじゃないぞ…。
素直に口に出せない労りの言葉が俺の中で渦巻いている。
少し前に撮影した大手飛行機会社の広告を空港で見たと陽菜が言うのを聞いて、内心ガッツポーズをとる。あれは陽菜が旅行会社に勤めていると聞いて、マネージャーや事務所に必死に掛け合い貰ってきた。もしかしたら陽菜の目に留まるかも、なんて下心満載のやつだ。
ちょっと強引に聞き出した「かっこよかった」を言う陽菜の頬を赤くする様子に、抱き締めたい衝動に駆られたが、タカさんの般若みたいな形相のおかげで(?)ギリギリとどまった。
というか、タカさん、あんたは陽菜の親父かよ…。






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