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僕は君を連れてゆく

第1章 背中

《背中10》

あの日から毎晩よく眠れる。

「なぁ?昨日の櫻井の出した課題やった?」

「やったけど…自信ないよ…」

「あれさ、引っかけるような文ばっかりでさ、あいつ、相当性格悪いぜ?」


「さぁー席につけ~」
せんせいが教室に入ってくる。

HRは受験に向けて自主学習の時間になっている。

「松本。あとで櫻井先生のところへ行くように!」

「なんで?」

「俺が言わなくても呼ばれると思うぞぉ!悪口言ってただろ?」

「聞いてたの?え?櫻井も?」
教室に松潤の情けない声と、笑い声が響く。

ふと、視線を感じたらせんせいが俺を見てた。

なんだよ…朝から…熱いよ…

「二宮は放課後、俺んとこな?」

「え?なんでよ?」

「お前も一緒になって言ってただろ?聞こえてるぞ~」

「俺は言ってないよ~!ちょっと松潤!お前のせいだ!」
「なんで、俺は櫻井のとこでニノは相葉ちゃんのとこなんだよ~」



紙ヒコーキの作り方はあれからすぐに教わった。
でも、同じように折ってもせんせいのように真っ直ぐには飛ばないんだ。

それでもいいんだ。
だって、見つめれば振り返ってくれる。

広くて大きい背中。
抱き締めるともっと大きな力で抱き締めてくれる。

ずっと、見つめてた背中。




「せんせい?なんて書いてるか当てて?」

「いいよ。」

…す…き…

背中に指で文字を書く。

振り返るせんせい。



これからも見つめてる。


《おわり》

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