僕は君を連れてゆく
第22章 ネクタイに指をかけたら
「あっ、やん!」
「や、じゃ、ねぇよ。可愛いな、もう!」
「も、あんっ!やだぁ!」
「もっと、だろっ!」
「イッちゃう!ね!しょう…」
「イケよ!ほらっ!」
「あぁぁ…ん…すき…」
「俺も…」
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主任とこんな関係になったのは…半年前。
主任に大きなプロジェクトを任され、その重圧に押し潰されそうになっていた。
しかし、主任はそんな俺に優しい言葉をかけてくれるわけでもなく…
ミスをすれば容赦なく怒られた。
今まで生きてきたなかでこんなに頑張ったこともないし、逆に言えばこんなに怒られたこともなかった。
そのプロジェクトは俺の頑張り?のおかげで大成功して、打ち上げ会場のホテルで、俺は主任に告白されたのだ。
「はぁ~♡」
「なに、ニヤついてんの?」
喫煙室で昨夜の主任を思い出してニヤニヤしていたら、同期の相葉が入ってきた。
「ニヤついてる?」
「うん。すげぇ、だらしない顔してる。」
それは、イカン!イカン!
「櫻井さ…恋人いる?」
「なっ!なんだよ!急に?」
隣で相葉が吸ってる煙草は不思議な匂いがする。
「俺さ、気になるんだよね…」
相葉からの話をまとめると、こうなる。
“主任が気になる。告白したい。”
話してスッキリしたのか、手を振って去っていった相葉。
これは、身近にライバル出現。
俺達は上司であり、部下である。
だけど、恋人だ。
なんなら、俺が主任を抱いてるんだ。
恋人だからって贔屓するわけじゃないけど、
主任は可愛い。
普段は眼鏡をかけていて、前髪に表情が隠れているため、クールとか、冷たいという印象を持たれがちだが、遅くまで残業している社員にコーヒーをだしたり、プロジェクトが成功したときに見せる笑顔、眠い目をこする姿、判を押すときに口をパクっとさせるとことか…もう!全てが可愛い。
俺しか知らない、俺しか見てない姿だと思って油断していた。
相葉も同じことを言っていた。
「相葉か…ノーマークだったな…」
主任から告白されたし、信じているけど…
悪い虫がつかないように、注意しなくちゃ…
ー今夜も行きますね。ー
手短に用件だけ、メールをした。