僕は君を連れてゆく
第29章 BB
「アイツだ…」
未成年である少女を連れ去ったとして、俺らが足取りを追っていた男を見かけたと通報があった。
そこは普通のアパートで犯人と思われる男はゴミ捨てにでたところだった。
「手越さん、手越祐也さんですね?」
手越の背後から近寄り声をかけた。
「は?はい…そうですけど…誰?」
手越は上下にジャージ姿にサンダル。
眠そうに目を擦り、あくびをかました。
俺は右の胸ポケットから警察手帳を出して開いて見せた。
「前田咲さん、一緒にいますよね?」
手越は小さく息を飲んだ。
「…なに?」
「彼女の捜索願いが出ています。言ってる意味わかるよね?」
俺だって、眠い。
寒みぃし。
つーか、相葉はなにやってんだ?
携帯もでないそうだ。
変なことに巻き込まれなきゃいいけど…
「捜索って…なんで?」
何でって…
めんどくせぇな。
「だから、彼女の親御さんから彼女の捜索願いが出されたんだ。まったく、未成年だろ?彼女は…何やってんだよ…ロリコンかっての。」
「は?未成年?」
話が噛み合わないな…
「とにかく、早く彼女を連れてきてくれ。俺は帰りたいんだよ!」
「…」
ポケットに手を突っ込んで話をしていたから、
初速が遅れた。
手越はサンダルのまま走り出した。
「っつ!!おいっ!待てっ!」
慌てて追いかけようとしたら、俺を追い越していくスーツの背中。
「俺が行くっ…」
相葉っ!
あっという間に追い付いた、が、
手越は上手く体を交わしてガードレールを飛び越えてさらに走る。
それに続いて相葉もサラリとガードレールを飛び越えた。
俺は…アパートの2階へ目線を移した。
そこには少女の姿。
手越と同じようにジャージ姿だった。
「前田咲さんだよね?一緒に来てもらえる?」
優しく、声をかける。
「親御さんが探しているよ。」
手招きをしたら、まさかの前田咲まで走り出した。
なんだよっ!クソっ!