僕は君を連れてゆく
第29章 BB
「おい!待てっ!なんで、逃げるっ!」
前田咲を追いかける。
革靴は走りにくい。
走りながらネクタイを緩める。
左の胸ポケットにいれてる携帯が鳴った。
「なんだ?あん?うん、うん、おい!待てっ!」
相葉からだ。
手越を確保したと。
しかし、親御さんからの話と手越からの話とは
少しのズレがあると。
待て、今は無理だ。
「はぁ、はぁ、あとにしてくれ!」
女の子に逃げられたなんて笑い者にされる。
日頃の運動不足が…
そして、前田咲は公園のトイレに逃げ込んだ。
「おい…、な、んで、逃げ…る。」
息が切れて話がうまく出来ない。
タバコを出して火を着けた。
一口、吸うも…
「ゲホッ、ゲホッ…!!」
噎(む)せたし…
まだ、息が整わない。
「ゆうやとは、きちんと付き合ってるもん!」
!?!?!?
「捜索願いなんて笑える…ただ、お泊まりしただけだもん!あたしが家に帰りたくなかったんだもん!」
なんだこれ、ただの親子喧嘩ってことか?
相葉が手越を連れてやってきた。
手越の肩に腕を回してやってきた。
「あれ?どうしたの?」
どーしたの?じゃねぇよ!
「頼むよ、出てこねぇんだよ。」
「咲ちゃん、どうしたの?手越くん連れてきたよ!」
「咲!お前まで逃げるなよ…」
「だって…」
手越は相葉の腕をとってトイレに近寄り声をかけている。
優しく、柔らかい声で。
っていうか、手錠は?
未成年者誘拐だぞ!
「おい、相葉!手越に手錠は?」
「必要ないよ。きちんと、話せば分かってくれる。」
でた。
「分かってくれてる奴は逃げたりしません!」
「そりぁ、誰でも警察が来たら驚くよ。」
でた。
「お前が走って追いかけたんだろ?お前の手柄になるんだぞ!」
「俺は手柄とかどーでもいいよ。この二人がまた、一緒にいられるようになれば…」