僕は君を連れてゆく
第30章 2.5次会
ここは…
ここは…
大きな窓には東京タワーが見える。
それに引き寄せられるように窓から外を眺めた。
「すげぇな…」
耳元で翔くんの声がする。
「緊張してる?」
してるに決まってる。
だって、
だって、
だって、
翔くんと…
「し…」
「し?」
「し、してるに決まってんだろっ!」
「そうなの?」
翔くんは着ていたジャケットをハンガーにかけた。
ソファーにドサッと腰をおろした。
それをずっと俺は目で追っていて…
絞めていたネクタイに翔くんが指をかけた。
ぐっと結び目を緩めて、第二ボタンのところまで緩んだネクタイ。
いつもしてる翔くんの腕時計が見えた。
その腕時計を外してテレビの隣に置いた。
かけたジャケットの胸ポケットからスマホを出して何かを見てる。
俺はそれをずっと目で追っていて…
「なんだよ?そんなに見んなよ。」
上目遣いで言われて
「み、」
「み?」
「見てねぇよっ!」
ってかさ、
ってかさ、
この雰囲気は
この流れは
俺が抱かれるんだよね?
そういうことだよね?
流れに身を任せて
ついに、こんな流れに乗ってしまった。
翔くんというこの荒波
俺、今、どんな顔してる?
俺、松本潤
ちゃんと、出来てる?
「なぁ、」
「ん?」
やべぇ、声が裏返った
「飲み直す?」
ワイングラスを手に持つ翔くん。
こんなに絵になるもんなんだな。
「赤でいいよね?」
赤ワインをグラスに注いで大きな窓を背に俺を見る。
「乾杯するか。」