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僕は君を連れてゆく

第30章 2.5次会


俺は、翔くんに対してどうやって接していいか
わからない。
翔くんって呼ぶのが正しいのか、
翔さんって呼んだ方がいいのか、そんなことにすら
今さら、悩んでしまう。

それに、仕事として、カメラが入っていればまだいい。

楽しくメンバーとして話が出来る。

でも、不意に来る楽屋二人きり問題や、トイレ隣同士問題とか。

俺にはかなりの難題で。

別に何か話さなきゃいけないわけじゃない。

今さら、話すことだってそんなにない。

でも、隣に翔さんの空気を感じると荒れた真冬の海のように俺の心臓は高く大きな渦に呑み込まれて苦しくなるんだ。


いつから、こんな風に思うようになったのか。


「映画、よかったよ。ナラタージュンだっけ?」


「違うし!」


一口、ワインを飲んだら鼻から抜ける爽やかな香りが俺を包んだ。


「この、ワイン旨いね。」


「葉山先生のお口に合いますか?」


「鳴海校長のお口にも合うと思います。」


お互いの映画やドラマの話をして。
メンバーのドラマや映画の話もした。

翔くんはいつそんな時間があったのかな?っていうくらいメンバーの作品を観ている。
しかも、その感想をきちんと本人へ伝えるところが
偉いなって思う。

「てかさ、よく時間あるね。忙しいでしょ?」

腕時計をする左手首を擦ってる翔くん。

「う~ん…映画一本観る時間くらいあるよ…まぁ、松潤だって忙しいでしょ?」


「俺?俺はそんなでもないよ…」


「ふぅーん…」


物言いたげに顎を触る翔くん。


その長い指…

綺麗だな…

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