僕は君を連れてゆく
第32章 違いのわかる男。
いやぁ、あの日は…
ちょっと、やっちゃったな…
あの時はなにも考えずに体が動いたんだけど。
放送されたのを見たときには我ながら、
あら、私ってこんな?と。
そして、その日の収録を思い出して、
みんなの、確かめたくなったんだよね。
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「J!ちょっと。」
その日もいつも通りに収録が終わり、それぞれが次の現場へ行く準備をしているなか、俺は嵐のおしゃれ番長を呼びつけた。
収録もちょっと早めに終わって、ゲストのみんなとも仲良く出来たし、
笑いも取れたし…
みんな、満足してるって、顔してる。
だけど、俺はどーしても確かめたいことがあった。
Jはいつものようにキリっと濃い顔で、これからの段取りを頭のなかで組み立てているのか、ぶつぶつ何かを言ってる。
「なに?」
そんなJが可愛くて、俺はJに向けて両手を広げた。
「???」
「きて?」
あの時、工くん(斎藤工のこと)にやったように、
ちょっと、
顎を引いて、上目使いで見つめる。
途端にJは顔を赤くして…
「え?なに?なんで?いいの?」
「早く!」
Jは俺の肩から腕を回し、抱き締めた。
そして、俺は下から腰に腕を回す。
うん。
そうそう。
この感じがJなのよ。
この香水の香り。
素直に照れて、赤くなるほっぺ。
服の上からではわからないけど、しなやかな筋肉。
これが、J。
松本潤だ。
「どした?」
「はい!わかりました!」
「え?なに?なんの確認?」
もう、これで十分。