無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりですか？」

店内を見渡しながらマスターとテレパシーで会話をしていたところ、突然声をかけられて驚いた。

「ダレッ？」
驚き過ぎて思わず声が出てしまった。

「え、あの、お客様…？」
『あぁ、言い忘れていた。先代マスターのお孫さんだ。今日はちょっと応援に来てもらってる』

戸惑う女の子と、マスターからのフォロー。

「あ、あぁ、えっと…ブルーマウンテンで」
「かしこまりました」

女の子が厨房に戻っていったあと、再びマスターに話しかける。
（今日だけの応援なんですか？しばらく来てもらうんですか？）
『今のところ、今日だけの応援だ。彼女はまだ高校生だし。今日は娘さんのほうがどうしても急用で応援に来れなくてな』

娘さん、というのは先代マスターの実の娘だから「娘さん」とマスターが言っているだけのことで、うちの母親と同世代ぐらいのオバチャンだ。

「お待たせいたしました」

運ばれてきたコーヒーを受け取りながら、女の子の顔をそれとなくチェックする。うーん…あんまり似てないような、と思ったが、まぁ、親子だからって全員が全員顔がそっくりなわけじゃないしな。

『あんまりじろじろ見るな、セクハラで訴えられるぞ』
目敏くマスターに突っ込まれる。

（なっ、そんなにじろじろ見てないですよ。親子っていうから似てるのかなと思ってちょっと観察しただけですよ）