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喫茶くろねこ

第21章 卒業。

フォトウェディングには、スタジオ撮影とロケーション撮影があった。ロケーション撮影のほうが若干値段が高い。こういうのは女の人の希望に合わせなさい、と母さんに言われて僕はノータッチ。

「ロケーション撮影だと天気も気にしないといけないでしょ?スタジオがいいわ」

和装とドレスでは衣装代が違い、和装のほうが高くなるんだけれども…

「白無垢にしても打掛にしても、和装は重たいのよ。お布団被って歩くようなものよ。ドレスが着れたらそれでいいわ」

こんな感じで安いほう、安いほうをチョイスしていく美佳さん。

「ところで、なんで和装が重たいって知ってるんですか?」
「結婚寸前で破談になった前の婚約者の時にね、衣装選びで試着してるから」
「あ、あぁ…なんか、すみません」
「いいのよ、もう。昔のことだし、気にしてないし」

「それより、前向いていきましょ!私たちと、猫達の明るく輝く未来が待ってるんだから!!」

いつも前向きで、僕を引っ張っていってくれる美佳さんに、僕がついていく。そんな感じの男女逆転夫婦?いや、今の世の中って女性のほうが強いのかな。

猫カフェの名前は、もう決めてある。

「虎太郎カフェ」だ。

虎太郎には、「喫茶くろねこ」でのマスターみたいな立場で、お店に常駐してもらおうと思う。

「虎太郎、お前がお店の看板だよ」
「外に立ってなきゃダメにゃ?」
「あ、看板ってそういう意味じゃないよ。マスターみたいな感じ」
「わかったにゃ」

虎太郎と、美佳さんと、僕の、新しい挑戦が始まる。
全ての猫が幸せに生をまっとうできる世の中を目指して。


ーーー完ーーー




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