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喫茶くろねこ

第5章 下地家

暖房の効いた部屋の中では快適なジャージだったが、そのまま外に出ると寒かった。

慌てて中に入り、服を着替えに自室へ戻る。でも全部着替えるのは面倒なのでジャージの上からコートを羽織り、首をマフラーでぐるぐる巻きにして、靴下を履く。

今度は、勝手口からサンダル、ではなく、きちんと玄関からスニーカーを履いて外に出た。

そのまま、徒歩5分のクリーニング屋に向かう。

ふ~…。母さん、ホントにマスターに会いに行くつもりかな…。…行くんだろうな、多分。

喫茶くろねこのマスター…テレパシー通じるかな、と思って心の中で呼びかけてみたが、何も反応はなかった。
やっぱりこの距離だと遠隔テレパシー無理なんだな…。

考え事をしながら歩いていると、犬のフン(らしきもの)を踏みそうになった。危ない危ない!
ちゃんと足元見て歩こう。

クリーニング屋にスーツを預け、帰りに自販機でホットの缶コーヒーを買って戻った。

あったけぇ~。

缶コーヒーは飲まずにカイロ代わりに握りしめる。
行きに踏みそうになって、すんでのところで除けた犬のフンを、帰りにも危うく踏みそうになってつんのめってしまった。

…なんで同じ場所でこうなるかなぁ。まぁ、踏まなかったから良しとしよう。

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