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喫茶くろねこ

第8章 先代マスター、ヒロさん

「そうえいば、佐々木さんは先代のマスターのこと、ご存知なんですか?」

「知ってるよ。というか、ヒロさんの時からここで働いてたよ。じゃなきゃ、こんな、猫がマスターしてるような喫茶店なんかで働いてないね」

「じゃあ、マスターが喋らない普通の猫だった頃から知ってるんですか?」

「あぁー…。子猫の頃は本当に可愛かったぞ~。今じゃ化け猫みたいになっちまったけどなぁ…」

『今でも可愛いだろう。化け猫とは失礼ニャ』

「「人の言葉を理解して、テレパシーが使えたら十分化け猫」」

「…でしょ!」
「…だろ!」

『尻尾はまだ分かれてない』

「…マスター、もしかして、猫又目指してんのか?」

『目指してない。ていうか、あれは架空の妖怪だろう?』

「架空かどうかはわかんないっすよ。ホントにいるかもしれないじゃないですか。だって現に喋る猫は実在するわけだし。僕だって、マスターと出会うまでは猫が喋るなんて夢にも思わなかったですよ?」

『本当に思わなかったか?自分ちの飼い猫と喋れたら楽しいな、なんて妄想はしなかったのか?』

「…しましたけど。でもそれは妄想であって、まさか現実に喋る猫がいるとは思ってないですから」

『オウムやインコが喋るのは、見たことあるだろ?』

「ありますけど…」

『鳥に出来るんなら、猫にも出来るだろう。猫の方が人間に近いんだから』

「どこらへんが近いんですか?」

「あれじゃないか?鳥は鳥類で、猫は哺乳類だから…」

僕の質問に、マスターではなく佐々木さんが答える。マスターを見ると、その通り、とでも言いたげな顔で頷いていた。


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