ガラスの靴がはけなくても
第5章 赤のしるし
耳から離れた唇は、首筋から背中にまで降りていく。途中に小さな痛みを残しながら。
背中にある唇の熱が離れたかと思えば、カチリと金具が歯に当たる音が聞こえて――…圧迫されてた胸には開放感。
ブラが外れたと同時に滑り込んでくる大きな手。
やんわりと掌で形を変えられ揺らされる。
「あっ…、んんっ!い、やっ…」
「嫌?いつまでそんなこと言ってられる?コレ触ってなかったのに、もう硬くなってきてるぞ」
「やぁっ!?摘まんじゃ…あぁっ!」
突然にギュッと摘ままれた両方の胸の先。
親指と人差し指とで根元からしごかれ、肌が粟立ち身体の奥に痺れが走る。
強く摘ままれたり、指先で擽ったり。
違う刺激を与えられその度に身体が跳ねて声が漏れる。
力が抜けて部長に身体を預ける私は理性が崩れかかってる。
「きゃっ!?」
そんな私を軽々と抱え上げ、パーテーションで区切られた所にある接客用にと置かれてあるソファーへとおろす。
案の定そこに押し倒された私に向かって、深い口づけをする。
苦しくなるほどの長いキスが終わると部長は笑みを浮かべて私を見下ろした。
「指だけじゃ物足りないだろ?」
「な、に言って――ひっ、あぁ!んっ、やぁぁっ」
指で摘まんだ先を舌先でつつかれた。
指とは違うぬるりとした感触と温度。
唇で挟んで、舌を立てて吸われるともう泣きたくなるくらいだった。
「俺の舌、そんなに気持ちいい?」
「はぁ、っ!ちが、う…っ」
「嘘つきにはお仕置き」
「いっ!噛まない、…で!っ、あぁんっ」