ガラスの靴がはけなくても
第1章 眠れぬ夜
大体部長ってこういうキャラだっけ?
………いや。うん。こういうキャラだ。
仕事も出来て男前で。
だけどわざと人に意地悪なことを言ってからかったりするような子供みたいな一面もある。
部長に昇進したのは今年度だけど、それ以前から飛び抜けた統率力を発揮していた。
仕事が出来るだけではない彼は、上からも下からも慕われている。
そんな部長は当たり前に女子社員からも絶大な人気を集めているわけで。
桐谷慶司。きっとその名を知らない女子社員はわが社にはいない。
そんな部長と二人きりだと私が意識し過ぎているだけなのか。
いつもと雰囲気が違うように感じるのは気のせいなのかな?
頭でごちゃごちゃ考えつつも、口はずっと動き続けていて。
そんな私がやっぱりおかしかったらしい。とうとう彼は声をあげて笑い出した。