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ガラスの靴がはけなくても

第6章 年下の男の子


嫌な気持ちでもう1つため息をはきかけた時、


「な~に気にしちゃってるのかな?」


亜依ちゃんと騒いでたはずの香織さんが耳元で囁く。


「なんのことですか?」


「今、どこ見てたの?」


「どこも見てません」



やだな。
香織さんのこういう妙に勘がいいところ。
どうせパソコンから目を離さない私の動揺だってバレバレ。


そして、私も香織さんの顔をみなくったってどんな表情を浮かべてるか手に取るように分かる。


バレてるのになおも知らない顔をするのは、目立たない私を注目の的に仕立て上げる、容姿も言動も目立つ先輩に対する小さな抵抗。


「そういう所が可愛いのよね莉乃って」


「ちょ、いたっ!やめてください~」



ぶすりと私の頬に指をさしてグリグリしてくる先輩には、抵抗なんてしたって無意味なんだけど。



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