ガラスの靴がはけなくても
第6章 年下の男の子
葛藤の中で過ごした一日だったけど、決めてしまえば重かった気持ちも少しは軽くなったりして。
いざ二人になってしまえばなんてことなかった。
駅の方まで歩き少し路地を中に入っていく。他愛のない会話をしながら着いた先は居酒屋と言うにはこ洒落たお店。
赤ちょうちんがぶらさがってのれんがかかった様なTHE居酒屋っていう感じではなくて。白と黒のウッドを基調とした作りだけど照明の加減でどこか暖かさを感じる落ち着いた雰囲気。
だけどかしこまりすぎてない店内には金曜日と言うことも手伝ってか沢山のお客さんたちで賑わっている。
「適当に頼んでいいですか?食べたいのあったら教えて下さいね。とりあえず生?」
「うん、生で。嫌いなものあまりないから澤村くんに任せるよ」
私からメニューを受けとると店員を呼び注文する彼。
『よく行く』と言っていた言葉通り、注文を聞きにきた若い男の子の店員さんと親しげに言葉を交わしている。
澤村くんの人当たりがいい性格が見て分かる。
彼の外回りの様子は知らないけれど、営業職はすごく合ってるんだろうと思った。