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ガラスの靴がはけなくても

第7章 春の風



強く吹き付ける風を背中に感じて、愛しい人の姿を探すために駆け出す。

寒くて冷たい風が吹き抜ければ、その先に待っているのは暖かい季節。

失恋で凍えて固まった心も温まり溶けようとしていた。
頑ななだった私を壊してくれたのは間違いなく部長。



「どこ……?」



離れてから数分も経っていないのに見つけられない。

週末の街中は夜だといってもいつもより賑わっているし、それにここは駅近くの人通りの多い場所で。

泣きたくなった。
大袈裟かもしれないけど、ここで部長を見つけられなかったら何もかもが全部ダメになってしまうような気がしたから。



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