ガラスの靴がはけなくても
第8章 眠りたくない夜
悪魔の笑顔を向けた後は、"いい子"とまたいつものごとくそう優しく言うから翻弄される。
ゆっくりと再び唇を重ねベットに沈められた。
「白くて綺麗な肌だな。俺の痕残したくなる」
大きな掌で身体を撫でると唇から頬に、それから首筋、鎖骨。胸からお腹までゆっくり、ゆっくりとたくさんの赤い花を散らしながら降りてくるキス。
『消えたら何度でも付けてやる』そう言った言葉を思い出して、今は触れられていないうなじも熱くなった気がした。
今まで触れられた記憶が身体に刻み付けられてる。
膝を立てさせられると、太股の内側を丹念に舌を這わせで吸い上げる。
もう、すぐそこなのにまだまだ触れてくれない。
「んっ、はぁ…っ」
「早く触って欲しい?」
その言葉を待ち望んでいたかのように首を縦に振る。
「素直になってきたな」
クスクスと笑うと、ショーツ越しに指を押しあてた。
それだけで身体がビクンと大きく跳ねる。
「もう下着の意味ないな。ドロドロに濡れて、白が透けてる。こんな食い込むようなの履いてるから形まで分かるな」
「やっ!見ないでぇ…」
「見ないで?わざと誘うためにこんなやらしい下着履いたんじゃないの?」
確かに期待も込めて下着を選んだけれど。改めてそう言われると堪らない気持ちになる。
隠すために持っていった私の手を掴むと、あろうことかそのまま私の指を秘部にあてがった。
「やだやだっ…!」
「ほら、凄いだろ?特にココ」
「やぁっ!やっ、動かさないでぇ!」
「この食い込んでるとこ気持ちいいだろ?お尻の方までぬるぬるになってるの分かる?」
自分の意思じゃないとしても、自分の手で擦って…そんな姿を見られるなんて…!
だけど、ありえないくらい濡れてることにも、こんなに恥ずかしいことをされてることにも感じてしまっている自分がいる。
直接的な刺激だけじゃなくて、言葉や羞恥心や状況にも感じていて。
彼に身体を触れられると、自分でも知らなかった自分を暴かれる様で怖く思うことすらある。